あれから一週間が経って夏休みが明けた。

始業式が終わった次の日から、クラスでは文化祭の準備に取り掛かり始めていた。

私のクラスでは、色々な味のベーグルを売ることになっている。

女子が中心になって教室の装飾をする。男子も買い出しに行ったりダンボールをもらってきたり、机や椅子の移動などを積極的に行っていた。

そんな様子を見て、団結していて良いクラスだと思った。

こんな光景を見れるのも、今年で最後だなぁと思うと切ない気持ちになる。

そんなことを思いながらダンボールにペンキで色を塗っていると、隣にいた澪が話しかけてきた。

「奈央、大野となんかあったの?全然話してなくない?」

私はあれから考えたんだ。

彩月は遥のことが好きで、遥も彩月のことを好きになった。


もし仮に、遥が私を少しでも思ってくれていた時期があったとしても、それはもう過去の話。

私は、遥と再会するタイミングを間違えたんだ。


でもそれは、きっとはじめから決められていたことだったんじゃないかと思う。

遥との赤い糸は、最初から存在してなかった。

私が勝手に信じ込んでいただけで。

……もう、全部が終わったんだ。


私は二人の関係を壊すことなんてできない。

たとえそれが、自分の気持ちに嘘をつくことになったとしても。