新しい席は真ん中の列の真ん中の方だった。

澪とも席が離れてるし、なにより全方向から見られてるみたいで落ち着かない。

あたりをキョロキョロと見回した。

結人くんはまだ来てないみたい。



……えっ?

……うそ。

一番右の一番前の席、遥が座っていた。

……遥、同じクラスだったんだ。


荷物を自分の席に置いてきた澪が私の元へやってきた。

「奈央、まさかのあの伊南遥と同じクラスだったね」

「……そう、みたいだね」

改めて周りを見渡すと、遥のほうを横目で見ながら遥の話題で持ちきりの女の子たちがたくさんいた。

みんな、遥と同じクラスになれて嬉しいんだ。


……やっぱり切ない気持ちになるのはどうしてだろう。

心が落ち着かないまま、斜め後ろのほうから遥の背中を見つめていた。