「また今度電話するね~」
「いや、しなくていいかな。」
家帰ったらアドレス消してやろう。
なんて考えている間に待っていた電車が来た。
「石沢サン、これに乗るの?」
「うん。じゃあね」
そして扉が開いたのと共に王子に別れを告げると腕を掴まれた。
「また明日、会いに行くから」
「は?」
いや来なくていいから。そう思いながらその手を振り払う。
すると王子は困るどころか笑っていて
「仲良くしようよ、キーエちゃん♪」
「……………」
バイバイと手を振る王子。
こうやっていろんな女の子を虜にしてきたのだろうか。
(たぶん次の狙いは私なんだろうな)
ゆっくりと揺れる電車に扉の端でもたれながらそう思った。
好きになる事はない。
…少しだけ気になる人がいるから。



