「……………」

「……………」




少しの間沈黙が続き




「そ、颯太さんって、なんでも出来るんだね」




耐えられずにいた私がそう発する。



「ん?」と顔を上げた颯太さんに、私は再び俯いた。




「苦手な事とかなさそう」

「んー。ありますよ、勿論」

「えっ」




一瞬考える素振りを見せた颯太さんだが「(あるんだ)」と驚いて顔を上げる。




「なに?なになになに?なにが苦手なの?」




興味津々な私に、颯太さんがふっと笑った。




「ひとつは”服選び”です」

「服…選び?」

「簡単に言えば、オシャレをするのが苦手って事ですかね」




オシャレが苦手、とそう言い張る彼




「(だから毎日スーツなんだな)」




チラリとスーツに目線を向ければ




「スーツだと決まったものを着ればいいだけですから」




それに気づいたらしく、彼はニコリと笑う。