「パエリア…ですか?」

「(あ、ちょっと困った顔してる)」




ジーっとテレビを凝視する彼を横目に


「(ちょっとワガママ過ぎた?)」と、後から少し反省する私。




「(さすがにコレを作るのは大変か)」




結構手の凝ったこの海鮮パエリアとか言う料理



実際食べた事はないから食べてみたいのも事実だけれど




「(今は颯太さんの苦手部門を知りたい。)」




ただその変な願望で頼んでみた。



けどコレはハードル高い?




「やっぱりオムライスでいいよ」




黙りこむ彼をチラリと見てそう断りを告げたのだが


彼は首を横に振って




「コレ、作りますよ。ただ海鮮ではないのですがよろしいですか?」




「今ちょうど魚類は無くて」と呟くそれを耳にしながらも




「え、作れるの?」

「作れますよ。意外と見た目以上に簡単なんですパエリアって」




凝ったように見えるが簡単だと言い張る颯太さんに




「(やっぱり出来ない事って無いんじゃ)」




頭の片隅でそう思った。