「でも無理はしないで下さい。
病み上がりはまたぶり返す危険がありますから」




そう私に告げると


またベランダへ残った洗濯物を干しに向かう。




「(ほんと、執事みたい。…ていうかお母さんみたい)」




ガラス越しに颯太さんを眺め


干している姿を見ながら吹き出しそうになった。



家事は全て出来て


仕事も多分出来るだろう彼は




「(逆に出来ない事ってなんだろう)」




それが気になる。




「そろそろお昼ご飯にしましょうか」




全部干し終えたのか、カゴを片手にベランダからリビングに戻ってくると


スーツの上からだがエプロンに着替える颯太さん。



その言葉に私はコクリと頷く。




「えーと…卵とトマトがありますから、オムライスでも…」




冷蔵庫の中を覗きながらブツブツと呟いている彼。


その瞬間、脳内に悪巧みが浮かんだ私は




「ねえ、コレ食べてみたい」




ちょうどテレビで映っていた


『海鮮風パエリア』という物を指差して言う。