執事的な同居人







「颯太さんって、私の誕生日すごく大切にしてくれるよね」




例え仕事が山積みであろうと急いで帰ってきてくれたり、去年出来なかったからって次の年は出来なかった分豪華にしてくれたりとかさ。




「当たり前だろ。」

「わっ!」




無造作に頭を撫でられては
髪の毛がぐちゃぐちゃになった。



乱れた髪が視界を隠して
前が見えない今の状況。


「もうっ…」と乱れた髪を払い除ければ、




「大事な人が生まれてきてくれた日なんだから」




…と。


とても優しい笑みで私をキュンッとさせる。





「そんな特別な日が、そのうち年に2回…
いや、3回に増えるかな」

「増える?」

「うん。そのうちね」





どういう意味だろう、と


颯太さんの言葉をもう一度頭の中で再生すれば





「………、っ…!え、えっ…!?」

「俺は2人欲しいな。
男の子と女の子だったら最高」




想像して身体がカッと熱くなった私を
颯太さんは愉快そうな表情で見、
チュッと額にキスを落とした。





「紀恵は何人が希望?」

「……2人、かな…」

「じゃあ特別な日が年に3回になるわけだ」

「違うよ…4回だよ。」




「楽しみ」っと。自分の誕生日ではなく他人の誕生日だというのに、優しく微笑む彼にそうツッコミをいれる。





「大切な人が生まれてきてくれた日は特別なんでしょ?だったら、颯太さんを入れて4回になる。私にとって颯太さんの生まれてきてくれた日は特別な日なんだよ。」





颯太さんは自分の生まれた日をあまり好んでいない。



それは遊園地に行ったあの日に颯太さんが話してくれた内容が関係していると思う。




『両親は俺をただの飾りとしか思っていなかった。』


『子供がいると、何かと優遇されることもあるみたいで。きっと俺を産んだのはそんな理由。』




自分はただ利用されるがために生まれてきたのだと。




そう捉えている彼にとっては、自分の誕生日なんて醜い日なのだろう。





けれど、例えそう思っていたとしても、





「颯太さんが生まれてきてくれて良かった。
私ね、颯太さんがいるからずっと幸せだもん」





私はあなたがこの世界に存在していることが嬉しいの。





「これだから……あなたに依存してしまう」





深い溜め息が聞こえた。けれど、目前にいるのは穏やかな笑みを浮かべる彼。





「俺も、紀恵がいるから毎日が幸せだよ」





あなたと過ごす日々を


いつの日も、どんな時も


全て幸せ色に染めていこう。





「幸せで溢れる家庭にしような」


「うんっ!」





あなたと共に


未来を見て


永遠を誓って。






結婚について ー完ー





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これにて『執事的な同居人』完全完結となります!ご愛読ありがとうございました(*^^*)


桐沢奈玲


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