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「でもなんで、結婚の話避けてたの?」
「あぁ…それは───」
ベッドに並んで横になる私達。
優しく私を抱きしめる彼に聞くと、
どうやら颯太さんが『結婚』の話を避けていた理由は、私に指輪の存在を勘づかれていると思い、どうにかして私の意識を逸らそうとしていたらしい。
強引にキスをして甘い雰囲気に流したり
お皿を割って話を打ち消したり。
今思い返すと、隠し通そうと必死だった颯太さんが珍しくてちょっと面白い。
「ほんと、参ったよ。実は指輪の存在バレていなかったなんて。」
「ふふっ。結婚の話、タイミングが良すぎたね」
「いいや、タイミング悪すぎ」
颯太さんはサプライズをすることが好きみたいで。
「もっと良い雰囲気で渡そうと思ってたのに。」
指輪の件に関しては満足していないご様子。
「嬉しかったし感動したよ?すっごく」
「…それならいいけど」
颯太さんに頭を撫でながら
愛おしいものを見るような目で見つめられる。
その目や仕草にポーッと見惚れていると
不意に颯太さんは真剣な顔をした。
「……結婚は、まだ考えてないんだ。でも先のことはちゃんと考えてるよ。今は考えていないだけ。紀恵が大学を卒業して何もかもが落ち着いたその日にプロポーズしようと思ってる。」
「それは…就職した後ってこと?」
「うん。はじめの1年は覚えることとか多くてバタバタするだろうし、2年が過ぎた辺りかな。
俺は紀恵としたいことが沢山あるんだよ。
新婚旅行も行きたいし結婚式だって挙げたい。ウエディングドレス姿見たいし。
新しく一緒に住む家にだって探しに行きたいな。ずっとこの家でお世話になるわけにもいかないしね。」
颯太さんは私達の未来のことを
私が知らないところでずっと考えてくれていたんだと思うと、頬が緩んでにやけてしまう。
「私も颯太さんのタキシード姿見たい!絶対似合う!!」
「ハハッ、ありがとう。白色のスーツは着たことがないな。」
「そうじゃないと困る!!」
幸せがいっぱい詰まったこの会話。
未来について話すのは、やっぱり心が穏やかになる。
「でもまずは、明日の誕生日について話をしよう。どこに行きたい?俺的にはあの遊園地とか久々にどうかなって考えているんだけど」
颯太さんの言う遊園地とは、私が高校生の時に連れて行ってくれたところ。
帰り間際に見せてくれた園内の全体の景色は
今でも深く私の心に残ってる。
それから────
『────好きだ。これから先もずっと、俺は紀恵さんだけを愛してる。』
あの日私はプロポーズチックなことを言われていたっけ。
(今まで何を疑っていたんだろう。)
颯太さんは変わらず
今でも一途に私を愛してくれているのに。
疑っていた時間がもったいないくらい。
「うん!そこがいい!遊園地行きたい!!」
過去の幸せだった記憶が
明日の楽しみを膨らませていく。
きっとまた、素敵な1日になるなって。



