(ほんと……颯太さんって完璧だ)
いつから用意していたんだろう。
全然気づかなかった。
指輪のサイズだって
隠し事だって
颯太さんは全部完璧にこなしちゃう。
少しデザインのあるこの指輪は、颯太さんが私をイメージして作ってくれたオリジナルの物なのだろう。
その証を何も言わずにポーっと眺めていると、颯太さんが心配そうに声をかけてきた。
「紀恵の好みっぽくしてみたんだけど、気に入らない?」
「えっ!?ち、違うよ…眺めてたのは気に入らないからとかじゃなくて……でも、これは一体どういう…?」
反射的に左手を右手で包み、隣にいる颯太さんに尋ねる。
「颯太さんは私に呆れてるんじゃ…」
「ん?…ああ。その事なんですが、」
突然の敬語口調。
それは、
「『結婚したら他の人と恋愛楽しめない』とか、『誰と恋愛しようが勝手』とか。意味のわからないことばかり言ってたけど、あれは一体どういう意味ですか?」
長年一緒にいるからこそ分かる、颯太さんが怒っている証拠だ。
「そ、れは……」
見たんだもん、私。
颯太さんが綺麗な女の人と一緒にいるところ。
反論しようと口を開いた矢先、颯太さんは私の口に手を当てる。
ここじゃあれだから、と。



