「紀恵さん、入りますよ」 ガチャリと勝手に部屋のドアを開けた。 「ちょっ、勝手に入ってこないでよ!」 すると目をまん丸くして驚く紀恵さんがそこにいて、 俺が部屋の中に足を踏み入れると紀恵さんは少しだけ後ずさった。 「どういうおつもりですか?」 「は?なに……って! ちょっ、そこからこっちに来ないで!!」 俺が紀恵さんに近くたびに、紀恵さんは俺から距離をとる。 まあでも今の不利な立場なのは紀恵さんであって。 「っーーーー」 紀恵さんの後ろは壁。 前は俺。 逃げ場はなくなる。