執事的な同居人





毎度悩んでいる時に
ひょこっと登場するコイツ。





「てことは、今は結婚で悩んでるんだ?」




そしていつも痛いところを突いてくる。




「……………」

「あ。図星だった?」




ニヤニヤと笑うコイツに相談するのはなんだか気が乗らないけど、私の身近にいる男の人はカイくらいしかいないし…




「………男の人って、結婚とか興味ないの?」




気づけばポツリとそんなことを呟いてた。


男の人の意見を聞けたら、このモヤモヤもなくなるのかなって。





「結婚?興味あるにきまってんじゃん」




だけど聞いたことが間違いだったのかもしれない。





「好きな人となら、結婚したいと思うね」





私のモヤモヤは募るばかりだ。





「じゃあ、付き合っている人とならそーゆー話もしたくなる?この先のことについてとか…」


「なるんじゃない?一生この人を大切にしたい!っていう気持ちが芽生えたらそういうことも考え始めるんだと思う」




颯太さんはよく私のことが大切だと言ってくれる。


カイの言っていることが本当だとしたら、
颯太さんも結婚を意識してくれていることになる…?





「まあそれは俺の意見なだけで、人それぞれだと思うけど。」





パタンと雑誌を閉じると、カイはそれを私に返してきた。いや、もう読まないし。



けれど受け取ってしまう私。





「結婚願望がある人もいれば、ない人もいるからね。」


「そんな人いるの?」


「いろんな人がいるんだからいろんな考えを持ってるよ。恋人ってゆー存在は欲しくても結婚はしたくないって思ってる人もいるだろうし。」


「なにそれ……意味わかんない。その人とずっと恋人同士のままってことだよね?その先は考えてないってこと?」


「そうなんじゃない?ただ恋愛を楽しみたいだけとか。結婚するとさ、配偶者以外の人と恋愛楽しめないじゃん」





ズキンッ





「今付き合ってる彼女よりももっといい人と出会えるかも。なんて考え始めたら結婚に踏み切れないよね」





胸がズキズキと痛い。




もしも颯太さんがその理由で話を避けているのだとしたら……と、考えるとショックで仕方がない。




私のことをすごく愛してくれている颯太さんがそれを理由で避けているだなんて考えたくもないけど、毎度話を逸らされてはそうなのかなって思ってしまう。




颯太さんは私よりも年上で大人で、その年齢の中には颯太さんと同じ大人な人がいっぱいいる。



だからこそ、こんな子供っぽい子となんて結婚したくない?


颯太さんはただ私と恋愛がしたいだけ?



ううん、違う。絶対違う。




颯太さんは一途に私を愛してくれているもん。



他の人と恋愛がしたいとか、そんなのありえない。考えられない。





(今日また話してみよう…)





今日家に帰って話をすれば、颯太さんは笑顔でこれから先の話をしてくれると思う。



今まではただタイミングが悪かっただけ。
きっとそうだよ。きっと────…