執事的な同居人









「ああ!思い出した!!」





ポンッと手を叩いた涼さんは閃いた表情を見せて、





「紀恵ちゃんと一緒に勉強してた子だ!」





なんとまぁだいぶ昔の事を、この数分の間に思い出したらしい。





(てゆーか見られてたんだ…)





誰かに見られてしまっても仕方が無いような場所で勉強していたけどさ。





「それにしても男を連れてこんなところに来るなんてさ、遊びに来たわけじゃないんだろう?」





涼さんは視線をチラリとカイにあてる。





「何か用事があって、かな。」


「よくお分かりで!」


「男が客として来ることなんて滅多にないからねえ」





涼さんからは"何か"に気づいていそうな、そんな雰囲気を感じる。



私は未だにカイがここに来たいと言った理由を知らずのままなのだけど。





「とりあえず奥の部屋に来な。」





そう言ってカイを奥の部屋へと出迎える涼さんに私も後をついていく………が。





「そうだ!せっかくだし、紀恵ちゃんはホストクラブ体験してみなよ」


「へっ?」


「結構ハマっちゃうかもよ~」





笑みをかたどった薄い唇。





ニヤリと笑うその顔はきっと、





(私のこと金蔓だと思ってるな…)





一瞬だけ見えた経営者の顔立ちに、確実そうだと気付かされる。





「いや…いいです。帰ります」


「いいからいいから♪」


「あっ!ちょっと…!」





強引にも過去に1度座ったことのある高そうなソファーに座らされ、





「今回は特別にタダで体験させてあげる」


「いいですいいです!間に合ってます…!」


「颯太が相手でも?」


「!!」





颯太さんが…





ホワホワと脳内で想像してみるそれ。



今までどんな感じで接客していたのかな、と。なんだか気にもなる…





スーツ姿は毎日のように見ているし、普段と変わりない気もするけど。