この映画のストーリーは生まれつき身体の弱い主人公がある日ヴァンパイアの棲む屋敷に迷い込んでしまうという物語。



至ってありきたりなストーリーではあるが、どこか斬新さも感じられるようなもの。



序盤から中盤にかけてはホラー要素盛り沢山で話が進み、後半は何故か恋愛要素たっぷりな流れになる。





……まあこの通り、俺は一度この映画を観たことがあるわけで。





(次、背後からヴァンパイアがやってくる)





これから起こる内容を知っているからこそ、隣で怯える彼女を無性に驚かしたい気持ちになり、



主人公の女性がある部屋に足を踏み入れた瞬間───に、





「ひゃあっ!?」





フッと耳元に息を吹きかければ、紀恵は想像通りの反応を見せてくれた。




ビクッと肩を揺らし、潤んだ瞳で俺を睨む。



その反応にクスクスと笑えば紀恵は顔を真っ赤にさせてそっぽを向く。





(ビビってる、ってことがバレて恥ずかしいんだな。)





そんな隠してるようで隠しきれていないところでさえも愛おしい。







物語は変わらず進んでいき中盤へ。


変わらず身を縮める彼女に反して、ホラー要素は徐々に最高潮までのぼりつめていく。





『きゃぁあ!』


「っ、」





主人公が悲鳴をあげる度に肩を揺らし、





カタッ…


「……っ!」





小さな物音でさえも反応。





(ずっと見てられるな…)





一つ一つに敏感に反応する紀恵が可愛くて、俺は映画よりも目の前の彼女に釘付けだった。