「えっ…?」
手放せそうに……ない?
さっきと言っていることが矛盾していて
キョトンとしてしまう。
「俺のことを必死に探してくれる子。
大量のリンゴジュースを買ってきてくれる子。
こんな俺を好きになってくれた子。
とても素敵な笑顔で笑いかけてくれる子。
……俺との関係をなくしたくないと言ってくれる子。
そんなあなたの透き通った心を俺の醜い愛情で汚したくなかった。
だからこそ突き放せばいいはずなのに………俺は、この手を、離したくないと思ってしまう。
俺から、離れないでと、
そう願ってしまう…。」
「………っ」
弱りきった表情を浮かべながらも、どこか柔らかいその表情。
私の手を握るその手は、いつもの優しい颯太さんのとてもあたたかい手。
その手から伝わる熱がじわり、じわりと冷たくなった心を溶かしていく。
それでなのか分からないけれど、
「ここに連れてきたのは、あなたがきっと笑顔になれると思ったから。
まあ…その笑顔の矛先があの俳優に向いているのは少し妬けますが、そうであっても……あなたが笑顔になれるなら、それでいい。
泣き顔ではなく、周りを明るくさせるような笑顔を浮かべるあなたを、ずっと見たかったから。」
私の瞳に涙が浮かぶ。
さっきまで泣きそうになかったのに
今は色んな感情が込み上げて、
視界が滲んでいく。
颯太さんは泣き顔ではなく、
笑顔が見たいと言ってるのに…



