執事的な同居人






判断が出来ないくらいに脳内が混乱する中、私は颯太さんの手によって連れ出されていた。





私の前を颯爽と歩く彼。



おもむろにポケットから何かを取り出すと


近くからピピッと音が鳴ったそれは
なんだか聞き覚えのある音。





「乗ってください」


「ちょっ…どこに行くの?!」





少し強引に乗せられたのは、車の助手席。



聞き覚えがあるのはこの車に何度も乗せてもらったことがあるからで









「俺と、駆け落ちしてくれるのでしょう?」








ドアに手をかけて助手席を覗き込むようにして見る彼に見惚れてしまった。





" 苦しみ "という言葉が似合わない



なんだか満たされているような表情で微笑んでいたのだから。






バタン、と。



運転席側のドアが閉まると





「シートベルト付けてくださいね」


「は、はい」





緊張気味の私を乗せて、車を走らせる。





どこに向かっているんだろう…



てか私制服なのに!!

いいのかな、このままで…。






(いや、でも、)





友達の前であんな事をしてきた颯太さんは
もう周りの目なんて気にしていないかのような…






私達がカップルだってことバレるとよくないはずなのに………わざと?