その反応に再び微笑んだかと思えば
「私はね、ずっと反対だったの。紀恵と颯ちゃんが一緒に暮らすなんて。まだ早いんじゃないかって。なのにお父さんったら島崎は完璧だから大丈夫だって言うのよ~?そういうことじゃないのにね」
心が痛くなるような言葉を言い放つ。
「紀恵はまだ高校生なの。まだ子供なのよ?」
その言葉が私の心を締め付ける。
「万が一のことがあったとしても、その覚悟はできていないでしょう」
そうお母さんが心配するのは、私がまだ子供で高校生だから。大人じゃないから。
「……分かってる。分かってるよ…」
だからもう、何も言わないで。
心が痛くて痛くて苦しくなるから。
なんで私はまだ高校生なんだろうって。なんで颯太さんと同じ歳じゃないんだろうって。責めても無駄な事ばかりを考えてしまう。
やっぱり…もう同居はダメなんだ。この先ずっと、許されないのだろう。
「紀恵。」
名前を呼ばれても顔を上げられない。
もう力がなくなったかのように、動けない。
きっとその先の言葉は───心が苦しくなるようなものなのだから。
「明日お父さん出張でいないから、颯ちゃんに会っておいで」
「…………え?」
けれど、違った。
私の想像とは違った言葉を発したお母さんに
俯いていた顔が自然と上がる。
「何を驚いているのよ」
そこにはクスクスと笑うお母さんがいて
「会って……いいの?」
「いいわよ?」
「だ、だって…もうダメだって……」
「あら、交際は否定していないわよ」
「えっ」
「ずっと会わないつもりだったの?そんなの毎日つまらないじゃない~ 若いうちは恋愛も楽しまないと」
お母さんの手が私の頭の上にポンっと置くと、クシャリと撫でられる。
「でも、お父さんにはまだ内緒ね。今バレると過保護が更にエスカレートすると思うから」
「過保護…」
「ふふっ、その通りでしょう?」
お母さんが笑うから、自然と私も口元が緩む。
「一人娘だもの、大切で仕方がないのよ」



