幻滅されるのは分かってた。


そう思わせてしまうように、俺はこの人を騙してきたのだから。




興味本位で同居を決意したわけじゃない。紀恵さんに手を出してしまう、そうなることを分かっていた上で同居を決めたんだ。




完璧?そんな言葉、俺に似合わねーよ。

もはや無縁だと言ってもいい。




何度も紀恵さんに言っていたようにホスト街にいる酔っている男と俺は変わらない。





俺は、最低なクズ野郎なんだよ。






「……同居させた俺も悪いな」






石沢さんは俺と紀恵さんを同居させたことに罪意識を持ってしまったみたいで、





「強引に同居を勧めてしまった俺の罰として、お前にはあの家をやる。

だから、お前はそのままあそこで暮らせ。



その代わり紀恵を実家に戻らせる。」



「いえ、僕が出て行きますから紀恵さんは──」









「二度と紀恵の名前を呼ぶな」






怒りでいっぱいの石沢さんは






「自分のしたことをあの家で噛み締めてろ」






それが、俺に対する罰なのだろう。






「今日にでも紀恵を実家に戻らせるから、荷物の運搬が終わるまではあの家には帰ってくるなよ。」






こうなることは分かっていた。






「紀恵とはもう二度と会わせる気はない」






だからこそ、この道を選んだ。





それが彼女を1番大切に出来る方法だと。