服に手をかければ、彼女はビクッと肩を震わせた。
「えっ…や、待って!」
「…………………」
グッと手を掴まれる。
「ここでするの…?」
「嫌?」
「い、やじゃないけど…でも……」
何かを言いたげだったが
今の俺にはその言葉を待つ余裕もなく
「嫌じゃないなら黙ってろ」
冷たくそう言い放ってしまう。
「っ、」
この時、紀恵さんの顔がこわばった気がした。
キュッと下唇を噛み、怯えるような目つき。
その表情に気にもとめないまま制服のブラウスに手をかける。
上から順に外せば、見えた鎖骨にはこの間の痕は綺麗になくなっていて、躊躇いなく再度その場所に噛み付いた。
消えんな。
紀恵さんは俺のなんだよ。
だからずっと、消えずについてろ。
前よりも少し強めにつけたそれ。真っ赤なその印を見つめてゆっくりと離れれば、
「…………っ」
ボロボロと涙を流す紀恵さんを見てギョッとした。その瞬間、どこか冷静さを取り戻した俺がいる。
「紀恵さん……」
罪悪感を感じながらその涙を拭おうと頬に手を当てれば、その手に紀恵さんはビクッと肩を震わせた。
怯えるような、触れられるのが怖くてたまらない、そんな表情で。
ギュッと目を閉じて強張っているその表情。………彼女の身体は微かに震えていた。
嗚呼、最低だ、俺。
こんな風にさせてしまうまで何してんだよ。
自分が苦しいからってそれを彼女に押し付けようとした。紀恵さんは何も悪くないのに。俺の身勝手な嫉妬心のせいで────
「………紀恵さん」
名前を呼んでも
彼女は肩を震わせるだけ。
「……、…すみません」
ブラウスに再び手をかけて、外したボタンをつけていく。
彼女はこの間襲われたばかりだというのに、俺はそれと同様のことをしようとした。………怖がられて当然だと思う。
「………頭冷やしてきます」
紀恵さんを置いて外に出る。
後悔してももう遅い。
してしまったことには変わりないのだから。



