─────────颯太side






「今日も帰り遅くなるから!!」





毎朝、俺にそう伝えてくれるのは有難いが





「いつも何をされているんです?」


「勉強!」


「勉強なら家でやればいいじゃないですか」


「颯太さんがいるからヤダ!!」






……と。



その言葉、まあまあ傷つくんだよなぁ…
















「……どうしたんですか?
今日はやけに溜め息多いですね」






厨房で作業中、隣にいるカズが心配するような目つきで俺を見ていた。





「いや……なんでもない。」


「……そうですか?」





もしかしたら紀恵さんに嫌われてしまったのかも。……なんて。こんな悩み、言えるはずがない。





思い当たる節といえば、



無理矢理ピーマンを食べさせたこととか

強引に大人なキスをしてしまったこととか

勉強を厳しく教えてしまったこととか





考えれば考えるほど、出てくる思い当たる節。





再び出てしまった溜め息に

視界の隅ではカズがチラチラと心配そうに俺を見ている事が分かる。







「なあなあ颯太~」





そんな中、厨房に現れたのは

やる事がなさそうで暇そうな涼で。





「紀恵ちゃんって彼氏いんの?」


「なんだよ急に…」






「いや~ 昨日さ、見かけたんだよね。




男と一緒にいる紀恵ちゃん。」







ピタッ。



無意識に動かしていた手が止まる。







ハッと気がついて

すぐに動かし始めたけど。