伏せられている目。

そこから伸びる長いまつ毛。

いつもはあまり見れない筋肉質な腕。





そして────綺麗な鎖骨。





この間私がつけた痕はもう消えていて






(確かキスマークって私のモノだってゆー印なんだよね…?)





ソッと颯太さんの鎖骨に手を伸ばす。



ツー…と滑らせるようにして触り
前に一度つけた場所を撫でた。







(…………もう一度)



私のモノだって印を───…






その場所に口元を近づけた、




時だった。






「紀恵さん。」





低い声で私の名前を呼ばれては


ビクッと身体が固まった。






あっ……やばい、起きてる…



そう判断出来たのは一瞬で、






「っ、んむっ……」





後頭部に回った手が私を引き付けて
少し荒く触れ合った。






「夜這い、ですか?」


「ちがっ…!…くないかも…」






そう思われてしまっても仕方がないような事をしようとしたから、私。



颯太さんに止められてなかったら
あのまま噛み付いてたよね…





「今日の紀恵さん、どこか変ですよ」


「っ、」


「どうしたんです?
修学旅行で何かありましたか」





ムクリと起き上がると
ベッドサイドにあるライトをつけた。



そのため、颯太さんの顔がはっきりと露に。






「何かって……」





そんなの、






「………颯太さんのせいだよ」


「俺、ですか?」


「颯太さんが………………女の人といるから」






ああ、言っちゃった。


言ってしまった。


ウンザリされるかもしれないと言うのに






「私がいない間に遊んだりするから……」





喋り出すと止まらない。






「電話越しに女の人の声が聞こえて…すごく嫌だった。事情を説明するって言ってくれたのに颯太さん全然説明してくれないし……」





「…………ああ、あの日のことですか」


「もしかして、忘れてたとか?」


「まぁそうですね。すっかり忘れていました」


「え、なにそれ!!

私ずっとムシャクシャしていたんだから!!」






叩いてやろうと腕を振り上げたが、
振り下ろす前にパシッと掴まれてしまい






「それで、ずっと俺に嫉妬していたんですか?」


「なんで嬉しそうなのよ…」






ウンザリされると思いきや







「いや、俺愛されてるなーって」







嬉しそうにホワホワと笑う。