しかも、
ドンドンドンドンッ!!!
今度はドアを叩くという、第2の迷惑行為。
アイツの頭には
夜中だから静かにする
という概念はないのか。
覗き穴から外の様子を伺うと
案の定、想像していた通りの人がそこにいて
そいつが息を目一杯吸い込んだ瞬間
「おにいっ……っ、!」
扉を開けて麗華さんの口元に手を当てた。
「迷惑だからマジで」
グッと少し強めに口を塞げば、麗華さんは目を丸くして俺を見ている。
「っ、っー!!?」
だってここにいる筈のない奴が中から出てきたのだから。
俺だって大驚きだわ。
こんな真夜中になんでここにって。
「麗華……」
ケホッと咳き込みながら様子を見に来たカズは、「やっぱりか…」と困り果てた表情。
引き込むようにして中に入れれば、
「お兄ちゃんっ!!!!」
耳がキーンとなるほどの大きな声でそう叫んだ。
いや、ほんと、うるさいから。
「なあ…もう少し声量下げれないんですか?」
再び口元に手を当てる。
これ以上叫ばれると近所迷惑だ。
まあもう既に近所迷惑なのだが。
「そ、うたくん…」
やっと静かになった麗華さんを上から見下ろした。
「なんでここに……」
「カズの看病にですよ。麗華さんは……まあ聞かなくてもいいか。」
きっと俺と同じように看病しに来たのだろう。