壁にもたれ掛かりながら、ゆっくりと目を閉じた。





(紀恵さんは今、何をしているんだろう)





今日もまた、佐々野海と出かけているんですか?


昨日のように、2人っきりで。






………俺はもう、キミに依存している。




だから、




2人っきりでいる所も


俺以外の男に触れられている所も


男から貰った物を身につけている所も




たったそれだけで妬くんだよ。




こんなこと、今までに無いくらい。






ガチャッ…




奥でどこかのドアが開く音。





(帰ってきたか……)





閉じていた目を開けて、ドアの前に立つ。




さっさと来い。


早く開けろ。





そんな事を思いながら目の前のドアを見つめていれば、



案の定ここにやってきて、それをドア越しに感じていた。





(ドアが開いた瞬間に引っ張り開けてそれでー…)





脳内で想像して、備える。




準備は満タンだ。


あとは開くのを待つだけーー







「…………、……?」





ドア越しに聞こえてきた声。



その声に違和感のようなものを感じて、一歩ドアに近づいた。




それにより微かに聞こえていた声が、少しだけはっきりと聞こえて





「ここもこれで開くのかな……」


「!!」





困っている様子が脳裏に浮かぶ。




そして、





ガチャンッ!





鍵の開く音と共に


開いたドア。




中を伺うようにそこから覗き込むようにして顔を出すその人は






「あっ!颯太さん…!」





パァ…!と明るい笑顔を見せる、




紀恵さんがいた。






キミがなぜここにいるのかは分からない。


どうやって来たのか、なぜここが分かったのか。




分からないことばかりだけど





とりあえず








「っ、! そ、うたさん…?」










抱きしめたいと思った。