"麗華さん"



聞き覚えのあるその名前。




だって、ついさっきの出来事だから。







"私は麗華。颯太くんの彼女だよ。"






そう言って、

強引に家の中に入ってきた女の人。




その人に…お持ち帰りされた?






「その人の家分かりますか!?」






この人との間に作った距離を、関係なく、無意識に彼へ近づいた。






「家は分からないけど、彼女はここの常連さんだよ。きっと今日も来るんじゃないかな~」


「じゃあ…その人がこの店に来るまで待ってちゃダメですか?」


「うーん…そうだなぁ」






私から目線を逸らした彼はどこか違う方を見て、再び私に目線を移す。






「まだ朝だしさ、オープンまでだいぶ時間あるから、またその時間においで?」





そう言うと、彼はスクっと立ち上がり


「ちょっと来て」と私を手招きする。






ついて行けば裏へと案内されて






「今日の夜、ここから入っておいで」





裏口?なのかな。


さっき入ってきた入口とは違って、高級感は全く無い、至って普通な出入り口。



ここはきっと従業員が出勤する時に使う出入り口だと思う。






「なんで?」そんな顔をすれば









「だってキミ、未成年でしょ?

そんな子がホストクラブに入って行くところを警察とかに見られちゃうと厄介だからね」








大人っぽい服装も

濃いめの化粧も


意味がなかったらしい。






私ってそんなに幼い顔しているんだな…


なんて、少し悲しくなった。