「………ふーん?」


「………なに」





カイに顔を覗き込まれると


なんだか私の気持ちを見透かされそうで怖くて視線を逸らす。




「いや、なんでそんな浮かない顔してんのかなーって」

「してないし…」

「まあ、なんとなく分かるけどね。」

「え?」





手首を掴まれると




「ちょっ…!なに!」




ズンズンと歩いて行くカイにほぼ引きずられるようにしてついていく私。




「なんなの!?離して!」

「いいからいいからっ」




どこに向かっているのか全く予想がつかない。





前を歩くカイはなんだか楽しそうで





(コイツ何考えて……)



自然と眉根が寄る。




「あっ、ちょうど青。」

「わっ…!」




急に曲がるからコケそうになるも、

なんとかバランスを保った。





「どこに向かって、」





言葉にした瞬間、気づいてしまう




コイツ、もしかして、






颯太さんのいる所に連れて行くつもりじゃ。





「ちょ、ちょちょちょ、待って!!」





引っ張られている腕を引き返すと、ちゃんと立ち止まってくれたから、最初からこうすべきだったと後悔。





「アンタ何しようとして…!」

「何って、挨拶しようと思ってさ。あの人が石沢サンと一緒に同居している人、でしょ?」

「っ!」





なんでバレてるの……



私言った?

言ってないよね?




前に1人暮らし?ってカイに聞かれた時、男の人と一緒に住んでるって言いかけたけれど、ちゃんと1人暮らしだって言いなおしたし…





「俺さ、結構勘が鋭いんだよね。

こう、ピンッとくんの。

今もピンッときちゃってさ、石沢サンこの間男の人と住んでるって言ってたし、きっとあの人なんだろうな~って思って。」





しっかりバレてました。



大当たりすぎて開いた口が塞がらない。