「すみません、行ってきます。」 カバンを持って 玄関へと向かう彼の跡を追った。 「何時に帰ってくるの…?」 「ハッキリとは言えませんが、夕方には」 慌てている彼は私の目なんて見ずに 背を向けて 「では。」 行こうとしたから 「そ、颯ちゃん…!」 思わず 名前を呼んでしまった。 しかも 2度と呼ばない そう思っていた呼び名で。 「…………………」 ピタリ、と。 颯太さんの動きが止まる。