すると、私以外いるはずの無い、よく聞き覚えのある声が後方から投げかけられる。

「まーた、泣いてる」
「………っ、音怜くん」

振り返ると、ふわふわの髪でピアスがきらりと光る音怜くんが、そこに立っていた。
またバカにされる───、そう思って目を伏せた瞬間、ふわりと、私はぬくもりに
包まれる。

気が付くと、私は音怜くんの腕の中にいた。

「…………我慢するな、俺がついてる。泣きたいだけ泣けばいい」

どうして、こんなに良くしてもらえるのか疑問に思う私。
けど、私はそれすら考える余裕もなくて、優しい音怜くんに包まれて泣き続けた。