「え? どうしたの急に?」
「理々乃ちゃんに、あまえてばかりじゃダメだなって最近思うようになって
さ~、自立しなきゃ、みたいな?」
私は、手を掴もうとする理々乃ちゃんの腕を振り払って、彼女の背中を押す。
「ちょ、つぼみ?」
「私なら大丈夫だから! 理々乃ちゃん、部活お疲れ!」
「えっ、あっ、そう? じゃあ、つぼみも補習お疲れ。気をつけて帰るんだよ?」
「うん、分かった! ばいばーい!」
理々乃ちゃんは、くるりと背を向けて靴箱へと向かって行った。
その瞬間を見計らって、私は急いで、ある場所に向かう。
私の涙腺は、もう我慢の限界だったから。
たどり着いたのは、ほとんどあまり使われない資料室の戸の前。
───、ガラガラ、ピシャッと音をたてて、扉を閉める。
中は予想以上に、ちょっとほこりっぽくって咳込んだけど、今の私には、そんなの
どうでもよかった。
フラフラと2、3歩、歩いてから、私は床に崩れ落ちる。
そして───。
「ううっ、うう~……あーくんのばかぁ~……」
ポタリ、ポタリと零れては落ちるの繰り返しの涙。