だけど、私の必死の願いはあっけなく砕け散った。

二人は、キスを交わして、ゆっくりと離れる。
理々乃ちゃんはムスッとしていたけど、頬を赤らめていて、対してあーくんは、
嬉しそうな顔で、照れていた。

───ズキン、ズキン、ズキン。

異様にお腹が、痛くなる。
片手はその部位を抑えて、もう片方の手は口元を覆っていた。

だって、そうしないと、嗚咽が抑えきれなかったから。
ぶわっと目からは大量の涙があふれていて、そこで私は初めて自分が泣いているんだと気づいた。

「………つぼみ? そこにいるの?」

理々乃ちゃんの近づく足音。
私は急いで涙を袖でごしごしとぬぐって、笑顔で彼女を見上げた。

「あのね、落とし物しちゃって、それ探してたの。でも、ここにあったから問題ないよ!」
とっさについた嘘だけど、理々乃ちゃんは信じたみたいで、安堵の笑みを浮かべる。

「じゃ、つぼみ、一緒に帰ろう?」
「あ、ううん。私、今日一人で帰るから」