しどろもどろになりながら、私は「A」と答えた。
すると、クラスのみんながどっと笑う。

「おいおい~、簡単な選択問題だぞ~?」
「応用問題ならともかくとしても、ハズすなんて信じられないわ~」
「川高さんって、頭は悪いから、可愛そう~、あははっ」


先生の「静かに!」という声で教室は、静まったけど、私は放課後居残りに確定
された。

予鈴が鳴り、今日の授業終了のチャイムが鳴る。

次々と教室をでていくクラスメイトを、横目で見ながら私は古典の教科書を開く。

「ねぇ、つぼみ。居残り終わるの、部活の終了時間とだいたい同じでしょ?
だから、一緒に帰らない?」

理々乃ちゃんは、私の机の前に立ってそう言ってくれた。

「ほんとにいいの? ありがとう、理々乃ちゃん!!」
私は、暗い場所が未だに苦手だ。
だから、理々乃ちゃんにそう言ってもらえて、素直に嬉しかった。

「じゃあ私、部活に行ってくるね! 居残りガンバ! つぼみ!」