授業中、私は窓の外をぼーっと眺めていた。

古典担当の先生が、教科書を読み上げる声も、耳から耳へすり抜けていく。
私の頭の中は、音怜くんのことでいっぱいだったから。

“分かった、つぼみちゃんが俺のこと好きになってもらえるように努力するから。でも、俺、あんま待てない性格だから、そこん所は覚えといてよ”

あんま、待てない性格………か。
ということは、私がはっきり断らなかったら、強制的に音怜くんの彼女になっちゃいそうな予感がするっ………!

「川高! さっきの問題の答え言ってみろ」
慌てて私は立ちあがるけど、答えどころか、問題の内容も全く聞いていない私。
「………えっと、その」
「どうした? 答えられなかったら、居残りだぞー?」

い、居残りっ……!? そ、それは何としてでも回避しないと!!

ふと、音怜くんを見ると、バカにしたようにニヤニヤしている。

うう~……、音怜くん成績いいからって私を見て喜んでるぅ~……。