じれじれ王子と心の蕾。



彼女は小声で、こっちこっち! と私を呼ぶ。
理々乃ちゃんは、廊下の隅っこに移動して、私は言われた通りに耳を貸す。

「リリィ、どうしたの?」
「…………萩山くんに、今すぐ告白してきちゃえば?」


自分の顔が、ボッと赤くなるのが私でも分かった。

「え、ええっ! む、無理だよっ!」
「なーに、弱気になってるの! 萩山朝陽くん、つぼみの幼なじみで初恋の相手
なんでしょ?」


「そ、それはそうだけど………」
そう、親友の理々乃ちゃんには、私が昔、彼のことが好きだったことを話したとき
があった。

でも、まさか1年前の会話を覚えているなんて、理々乃ちゃんは凄いなぁ。
…………って、関心してる場合じゃないよっ!


「あ、朝陽くん、絶対にリリィの方が気になってるみたいだし。私は、即行フラれちゃうよっ、あはは」

すると、がしりと両肩を掴まれる。


「萩山くんの、あの人気っぷり見たでしょ?」
「え、あ、うん、まぁ………」