ゆっくりと、こちらに近づいてくる、音怜くんであろう足音が聞こえてきた。
私の視線はあくまで、スクバをあさっている自分の手をうつしている。
私の心臓がドクドクと脈をうつ。
冷や汗も、じわりと額に滲んだ。
───ぽんっ!
「ひゃいっ!!?」
「なにを、そんなに顔をこわばらせてるの? つぼみ?」
私の肩を叩いたのは、音怜くんではなく理々乃ちゃんだった。
なんだ………、私の勘違いか………と、ホッとする。
「り、リリィ。お、あはよっ!」
私は、出来る限り精一杯の笑顔をつくる。
けど、彼女にはそれもお見通しだったみたいで………。
立っている私の顔を覗き飲んで、理々乃ちゃんがささやくように言う。
「音怜くんのことで、悩んでるんでしょ?」
私は急いで首をブンブンと横に振った。
「ち、ちがう……! せ、生理になっちゃってちょっと調子が悪いだけだから!」
半分は本当、もう半分は嘘の理由をついた私。

