くすくすと笑う私に、珍しく音怜くんが面白くないような顔をした。

「“そんなことないよー”とか、ちょっとはフォローするところでしょー」
「ごめん、ごめん、で、続きは?」

「俺、自分から告白したこともないし、決断力もないし、言われなければ行動も
起こさない。それが、周りから──、特に女子とか、じれったく思われるみたい
なんだよねー」
「なるほどっ! それで“じれじれ王子”って呼ばれる理由なんだ」

私は、ひとりで納得していたけど、横ではあくびをする音怜くん。
あ、相変わらずマイペースだなぁ………あはは。

「でもさー、“王子”はよけいだと俺思うんだよね」
「どうして? 顔はいいんだから、ピッタリじゃないの?」

「ふーん、何その“性格に問題があります”みたいな言い方?」
「あ、いやそういう意味で……、い、言っちゃいました……、ごめんなさい」

身体を縮こませる私に、今度は音怜くんがははっ、と笑う。