「え、ええっ!? そんなこといわれても困りますっ!」
「どうして? 俺、けっこう女子からモテるんだけど、きみは俺を好きになってくれないの?」
「あ、当たり前です! そ、それに音怜くんは確かによくわからないところもある
けれど──、とっても、私に優しくしてくれるかっこいい人なんですよっ!!」
私は男子の手を振り払い、逃げた。
「ちょ、ちょっと待ってよ、きみ!!」
けど、男子は懲りずに追いかけてくる。
「やめて! 来ないでっ!!」
「俺、きみのこと前から知ってたけど、今日の応援していたきみの姿に一目惚れしたんだ! 可愛い子だなって思ってさ!!」
ぐいっと、腕を掴まれる。
も、もうダメだ~!
…………あれ? この手ってもしかして…………? と感じて振り返った私。
「音怜くん!」
「げっ! 近松かよ!」
「なーに、騒いでんのー? とゆうか、俺の彼女に気安く触らないでくれるー?」
ふわふわの髪をなびかせて、私を自分の背中に隠す、制服姿の音怜くん。