床にバッシュの擦れる音がする。
「ほ、本当にここに座っていいの?」
私は、バスケ部の見学をさせてもらうことになり、体育館の端の席に案内された。
「うん、お前ひとりだけだし、近くに座ってても問題ないって顧問の先生が言って
たからー」
「そ、そうなんだ………! ありがとうっ!」
すると、「近松ー!」と呼び声で音怜くんは、くるっと私に背を向けた。
ちょこんと、私は、彼のユニフォームの裾を掴む。
「どうしたのー?」
音怜くんが返事したのは私に対してだった。
再び私の方向に向いて、顔をのぞかれる。
「あの、音怜くんが行っちゃうのさみしいなって思って…………」
一瞬だけ目を見開いて、ふっと、音怜くんは笑った。
また、バカにされるのかと思いきや………、彼は私の背中をさすってくれた。
「大丈夫。またすぐ戻ってくるから。その代わり、ちゃんと俺のかっこいいとこ
見てて? つぼみちゃん」
その笑顔と言葉で私は、きゅんとしてしまう。

