渋々おもむろに私は口を開く。
────ぱくっ。

「…………え?」

私は、もぐもぐと食べている音怜くんに目が点になる。
散々、強制してきたのに、彼はあっさりとそれを自分が食べていた。

「ちょっ………! 私に食べて欲しかったないんじゃないですか!?」
「だって、俺のお腹がすいてたんだよー」
「でもさっきのは、私がかじった、お、おにぎり…………」
「いーじゃん、別に」

ぜ、全然よくないよっ……! っと心の中で抵抗する私。

すると、ベージュに近い茶色の瞳がこちらを見た。
「なぁ、川高は、萩山のことが好きなの?」
「え、ま、まぁ、そうですけど…………」


自分で返事をしていて、私は顔に熱がこもるのを感じる。

「じゃあ、あいつのどこが好きになって告白したの?」
なんで、そんなこと聞くんだろう? と思いながらも私は答えた。
「優しくて、明るくて、みんなのムードメーカーで、私にはないのを持っているところだよ」