じれじれ王子と心の蕾。



「俺───、城守さんは───、」
心がズキリとする。

やっぱり、音怜くんは理々乃ちゃんを選んだんだ──、と思った瞬間だった。

「城守さんのことは、見た目も可愛いし、何でも出来る女の子だと思っている
よ。でも、ごめん。俺は──、つぼみちゃんと一緒にいるのが一番楽しいんだ」

『つぼみちゃんと一緒にいるのが一番楽しいんだ』


頭の中で、響くその言葉。
私の視界はぼやけて、音怜くんの姿がぐにゃりと曲がる。

彼を直視できなくなった私は、思わず顔を手で覆った。

「ちょ、なに泣いているの、つぼみ!!?」
「ご、ごめ、音怜くん、理々乃ちゃん、私、今、すっごく変な気分なんだ」

「変な気分って?」


理々乃ちゃんがあたふたしながら問う。
「あのね、理々乃ちゃんじゃなくて、私を選んでくれて嬉しいのに、なんだか、
理々乃ちゃんに申し訳なくって………、でも嬉しくて」

すると、理々乃ちゃんがバシバシと私の背中を笑いながら叩く。

「なーんだ、そんなこと!? つぼみ、音怜くんのこと見て見なよ、すっごく
笑ってるから」