じれじれ王子と心の蕾。



理々乃ちゃんは、視線を恐る恐る私の方へと向けた。

「お、怒ってるよね……? それとも私のこと軽蔑した……? あははっ」
彼女は私を見ながら、無理矢理誤魔化そうと笑っている。


理々乃ちゃんも、自分なりに苦しんでたんだね、私の知らないところで。

私はできるだけ語りかけるように優しく言った。

「私は別に怒ってもいないし、軽蔑もしていないよ、理々乃ちゃん」
ふわり、と笑って見せる私。
「…………え」

彼女はそれを聞いて、驚いたように目を見開く。

「ど、どうして? 私──、つぼみの大切な音怜くんを奪おうとしたんだよ…?
普通は、最低なヤツだって思うのが常識じゃないの………?」


私は首を横に振った。
「確かに私は、音怜くんも大切。だけど、理々乃ちゃんもそれくらいすごく大切
なんだよ?」
「うっ、つ、つぼみぃ……」

ひっくひっくと、泣きだす彼女。

───がばっ!!


「り、理々乃ちゃん!!?」

突然抱きついてきた理々乃ちゃんにびっくりしつつも私は、彼女のブラウンの髪
の頭を優しくなでた。