しかもまるで、私を初めてあったときみたいな目で見る音怜くん。

「………っ、ね、音怜くん? わ、私だよっ、川高つぼみだよっ………!?」
「それがどうしたっていうのー? いい加減そこどいで、昼休み終わっちゃう
じゃん」

「……」
彼の反応に、私は愕然として口をぱくぱくさせたまま、言葉がでなくなる私。

ついこないだまで、“つぼみちゃん”と呼んでいた音怜くんはどこへ行ってしまった
のだろうか。
意地悪だけど、よく私にだけ見せてくれたあの笑顔は、どこへ消えてしまったのだろうか。

すると、音怜くんの後ろに隠れていた理々乃ちゃんが、そろーりと顔だけだして、
私の様子を伺っていた。


「理々乃ちゃんっ!? 音怜くんと付き合うって本当なのっ!?」
「ご、ごめんつぼみ………」

彼女らしくない怯えているようなか弱い声だった。
わずかだけど、理々乃ちゃんの身体が震えているようにも見える。

おずおずと、理々乃ちゃんはやっと音怜くんから離れた。

そして、私よりも身長が高い彼女だけど、視線は私より下を向いていた。