こそっと再び裏庭を除くと、あの二人は──、まだそこにいた。
ちょうど話し合いが終わったのか、こちらに並んでむかう音怜くんと理々乃
ちゃん。

音怜くんはいつもとかわらない表情だった。
けれど、心なしか、理々乃ちゃんは顔をほころばせているようだった。

そんな彼女の様子に胸がズキッと痛む。

だめだめ、負けちゃダメ。
私はブンブンと嫌な感情を振り払うように頭を左右に振る。

そして、すうっと息を吸ってから、私は叫んだ。

「音怜くん! 理々乃ちゃん!!」

すると二人は、びっくりした様子で、こちらを見る。
私は、たたたっと急いで彼らのもとに駆け寄った。

私は、まゆの端をさげながら、ごめん! と頭を下げる。

「私、二人の会話、聞いちゃったんだ。盗み聞きするつもりはなかったんだけど、本当にごめんなさいっ………!!」


先に口を開いたのは、音怜くんだった。

「はぁー……、川高さんどこまで俺たちを、追いかけまわす気?」
「…………え?」

“川高さん”

その言葉が、ぐさっと心に突き刺さる。