理々乃ちゃんは口を開いた。
「ねぇ、音怜くん、私、萩山くんと別れてあなたと付き合いたい」

…………へ?
私は思わず驚いて、お弁当の包みを落としそうになった。
ドクン、ドクン、と心臓が嫌な音をたてる。

「萩山くんってね、実はすごい束縛男で、それで私嫌になって別れたばかりなの」

そ、束縛男……!? あの朝陽くんがっ……!?
眉の端を下げて、上目遣いで理々乃ちゃんはそう言った。


朝陽くんのことは信じがたいけれど………、彼女の様子からして理々乃ちゃんが
嘘をついているようにも見えない。

「ねぇ、あなたも今、つぼみと別れたばっかで悲しいでしょう? だから、
新しい恋、私と始めて見ない?」


え、え、え………?
私は頭がついていかない。
理々乃ちゃん、何言っているの? 
それに、理々乃ちゃんに言われるばかりで音怜くんは、黙りこくっている。

音怜くんもなにか言ってよっ………!!
“そんなことは出来ない”って否定してよっ………!!