「り、理々乃ちゃん……?」
「つぼみ、あなたもう1ヶ月前に17歳になったでしょ? もう、自分が大人
である自覚をもたなくちゃいけないよ」
私は、嗚咽をもらしながら理々乃ちゃんの顔を見上げた。
彼女はかがんで私の顔を覗き込んでいる。
───、“大人”。
その単語だけが頭に響いた。
「あんたが大人になるのは、今がその時なんじゃないかなって私は思うよ」
「うぅー……」
私は制服の袖で泣きながら、涙をぬぐう。
そして、心に新たな気持ちが芽生えた。
………そうだ。理々乃ちゃんの言う通りだ。
私もそろそろ、子供を卒業して大人にならなくちゃいけない。
「うん………、うん」
私は極力泣くのをやめて、理々乃ちゃんの言葉に頷き返す。
そして、私は下げていた顔を上げた。
音怜くん………、決めたよ私。
音怜くん自身だってきっと辛い思いで、先生が決めた手段を呑み込んだんだ。
悲しいのは………、私だけじゃない。
応援してくれてた理々乃ちゃんだって、心苦しいはずだ。