そう思っていると、私の見えているもの全てがチカチカしてきて、やがて雪みたい
に白くなる。

───、そこで私は意識を手放した。


窓から差し込むオレンジ色の夕陽が私の瞼を刺激する。

「…………ん」
目を開けると自分はベットの上。
白いシーツが丁寧に私の身体にかけられている。


………あの出来事は、夢、だったのかな………?
ぼんやりと思い返して、私は頬に手を伸ばした途端──。

………ズキッと突き刺さるような痛みが走るのが感じられた。

しかも大きめのカーゼで手当てしてあることに今更気が付く。
夢……、なんかじゃない……。
あれは、紛れもなく現実だったんだ。

私はハッとして、ガバっと上半身を起こす。
なぜならば、彼の存在をすっかり忘れていたから。

そう、私は音怜くんをかばって、左頬をナイフで切られたんだ、あの怖い男の人
に。


そういえば、音怜くんは? 彼はどこに今いるの??

私はベットから起き上がろうとしたその時───。