じれじれ王子と心の蕾。





───私の頬に、痛みが走る。

「───つぼみ!!」


両脚ががくんと落ちそうになったのを、音怜くんは腰に手を回して支えてくれた。

「げ、げへへへっ………! 狙いは違ったけれど、さっきの仕返しだっ!
コノヤロー!」

「待てっ! くそっ!」
私は頬に手を当てながら、男が今度こそ逃げていく姿を見ていることしか出来なかった。

けど、私は音怜くんを助けられた、よかったと思う気持ちに嘘はない。

なのに───、なんでそんな悲しそうな顔しているの、音怜くん?
「は、早く保健室いくぞっ………!」

私はへらりと笑って見せた。

「どうしたの、音怜くん……? 私、音怜くんを守れてよかったって思ってるんだよ……? わ、たし、本当に幸せだよ………」


ああ、なんだかクラクラする。
しかも、見ている音怜くんの悲痛な顔が徐々に真っ白になってくのは、どうしてなんだろう………?

血の気のない彼の顔を見るなんて初めてだなぁ。