「いない……、けどやけに静かだねー」
「うん。そうだねー、もう遠くに逃げちゃったんだよきっと!」
ざわざわと、葉が擦れる音だけが聞こえる。
私は、まだ不安が残っている表情の音怜くんを、どうにかしようと思っていると
──、ふと、あるものが視界に入った。
「音怜くん! 見て、これ──、」
私が花壇の側に寄り、“あるもの”にひとさし指を刺した瞬間───。
「───つぼみ!!」
ぐいっと音怜くんに腰を引っ張られる。
「へ? どうした──、」
どうしたの? と私が聞く前に、視界に飛び込んできたのは、さっきの二人の内
の一人の男。
こちらに物凄いスピードでこちらに走ってきてくる。
手には、あのときのナイフ。
狙っているのは、私ではなく音怜くんだった。
わ、私のせいで音怜くんが傷つくの………? そ、そんなの絶対ダメッ………!!
そこからは、まるでスローモーションのような世界に飛び込んだ私。
音怜くんが私を背中に隠してくれたけれど、私はそこから抜け出した。

