じれじれ王子と心の蕾。




すると、朝のホームルームを知らせる鐘の音が響く。
「じゃ、私たちはもう行くから、この子のことあとはお願いね~!」


斎藤さんは私を軽く一蹴りしてから、他の女の子二人と一緒に連絡通路の奥に
姿を消えて行った。
きゃははと愉快な笑い声を残して。

「じゃー、こいつ茜ちゃんが見たら喜ぶまでボコろーか? げへへっ」

「そーだなー、じゃまずどいつからヤル? それとも全員で一斉攻撃とか
どう~?」


な、なんて話しを笑顔でこの人達はできるんだろうっ………、頭が狂っている
としか思えないっ。
私は、今の内に起き上がろうと試みたものの、両腕を芝生に押し付けられていて
やはり出来なかった。


やだやだ、私、一体どうなっちゃうの───?

視界が涙で歪む。
ねっ、音怜くん、助けてっ………!!


心の中でそう叫んだ瞬間───、どさっ、という鈍い音。
あ…………。

見間違えるはずもない、ふわふわのブラウンの髪に光るピアス。
──、音怜くんだっ……!