じれじれ王子と心の蕾。



「ん? どうしたの、つぼみ」
立ち上がっても、その場から動かない私を見て、疑問に思ったのであろう。

「あ、あの……、リリィは教室に先に戻ってて?」
「え? どうして?」
「あの人に、ちょっと用事があるから」
「んじゃ、私もここにいる」

理々乃ちゃんの言葉は、ありがたかった。
けど、これ以上彼女に甘えたくない気持ちが強くて、私は笑顔で「大丈夫」と
声をかける。


すると、理々乃ちゃんは後ろ髪を引かれる思いで、この場を去って行った。

「“リリィ”って本名? あいつハーフなの?」
「き、生粋の日本人だよっ。私の親友で可愛いから、そう呼んでるの」

ふーんと、聞いてきたのはそっちなのに、興味なさそうな返事を返す彼。

「で、あんた誰?」
私は、「へ?」ととぼけた声をだす。

私の教室で寝てたってことは同じクラスってことだよね?
あれっ………? でも、私も、この男の子の名前、思い出せない………。
というか、この人、そもそもクラスにいたっけ………?