私の心にグサリと言葉が突き刺さる。
確かに、スポーツや勉強ができる音怜くんに対して、私はごく普通…………、いや
それ以下の人間かもしれない。

スポーツも勉強だって得意じゃないし、唯一の取り柄はへこたれないことなんだけ
ど、それすらも怪しい。

だって、心が折れた時、音怜くんがいつも駆けつけてくれて側にいてくれたから。
だから…………、だから立ち直ることが出来た。


私は………、まだまだ弱い箇所がたくさんある人間だけど、私は彼が───、
音怜くんが好き、なんだよ………。

今度は私が勇気をだす番だ。

「………っ、わ、私も音怜くんが好きなんですっ………!! これだけは後輩の
あなたにも譲れませんっ………!!」

私がきっぱりと言い切ると、ハーフアップの女の子の瞳がみるみる内に揺れて、
ぽろりと涙をこぼした。
けれど、何故か彼女の顔はみるみる内に笑顔へと変化する。

「なんだか……、私吹っ切れた気持ちでいっぱいです。音怜先輩、つぼみ先輩、
そう言ってくれてありがとうございました」