小声で、ボソリと言う音怜くんに対して、私は一気に身体の血が沸騰する。


「そ、それはダメっ…………!」
「じゃー、いうこと聞いて?」

私はもう何も言えず、渋々音怜くんに肩を抱かれたままの体制で、うつむく。

音怜くんは息を吸ってから、口を開けて叫ぶように言う。


「ごめんねー、俺、つぼみちゃんと付き合っているんだー!」
うううっ………、恥ずかしい………。
穴があったら入りたい気分だった。

ハーフアップにしているであろう女の子の「…………え」と言うわずかにこぼれた
声は私の耳に届いた。

だって周りがすごくシーンと静まり返っていたから。
「ね、音怜先輩に、彼女がいるって話はウワサで聞いていました………、けど私
諦めきれないんですっ!」

すると彼女の友達の女の子が口を開いた。

「えー、あの人が音怜先輩の彼女さん? なんかイメージと違うー」
「なんだか、子供っぽそうというか、もっと大人びた人が似合うんじゃないー?」