すると、手にするりとした感触が伝わって、思わずびくりとする。
手元を見ると───、音怜くんが私の手を自分の手と絡ませてぎゅっと握っている。

いわゆる“恋人つなぎ”ってやつだ。

朝が早いから周りで見てる同じ学校の生徒はいなかったけれど、なんだか凄く
ドキドキする私。


でも、嫌ではなかった。
むしろ素直に嬉しかったんだ。

「なーに、ニヤニヤしてるの? そんなに嬉しいんだ。手ぇ、こんなふーに
つなぐの」
「………うん。嬉しい」

音怜くんは目を丸くしてたけど、ふっと笑って「俺も」と呟いた。